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第6報 2002年11月17日(日)
第7報 2002年11月24日(日)
第8報 2002年12月01日(日)
第9報 2002年12月08日(日)
第10報 2002年12月15日(日)
第11報から第15報

第6報 2002年11月17日(日)

 教育実習が始まりました。小学4年生から中学3年生にあたる子たちの、英語と算数、そして体育の授業に参加し、先生の補助をしています。この学校では、個別学習と異学年交流を中心に教育活動を展開しているので、教師による講義のようなものはほとんどありません。なので、日本での教育実習のように、指導案を書いたり、教材の準備をすることはほとんどありません。子ども達は、週の最初に自分で学習スケジュールを決めます。教師は子ども達が「自習」している教室へ行き、"hjalp!"という札を出している子どもの手伝いをします。各人がそれぞれの進度で勉強しているので、子どもによっての差が大きいです。第7課を黙々とこなしている子の脇で、第2課でつまずいている子が騒ぎ出すという光景も見られます。大概の子は感心するほど熱心に取り組んでいますが、中には興味がわかずに暇をもてあましている子もいます。この方法でどうして学級崩壊にならないのか不思議です。もしかしたら、自分で計画を立てるというところに鍵があるのかもしれません。
 ところで、今週は僕の部屋に念願のテレビデオが来ました。お金がなくてずっと指をくわえていたのですが、ダニエルと相談し、帰国する時に譲るという条件で割り勘で購入しました。展示品処分で安く出ていたのを買ったので、リモコンも説明書もついていませんが、贅沢は言えません。土曜日には"The entire Swedish people are watching!"(ダニエル談)という超人気の宝くじ番組を見ました。この番組に参加するには、街角でBINGO*LOTTOというビンゴを買わなければなりません。3種類のビンゴといくつかのスクラッチがついたその宝くじの番号を照会しながら2時間の番組を楽しみます。「お年玉付き年賀はがき」をネタにした正月特番を毎週やっているようなものです。結局ひとつも当たりませんでしたが、ちょこっとスウェーデン人の気持ちでした。
 火曜日には今年2度目の雪が降りました。実習先で思いっきり雪合戦をしてきました。
「ご学友」って言ってみたい…
授業終わっちゃいました
学業の邪魔になるような
ダニエルと割り勘です
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第7報 2002年11月24日(日)

 教育実習2週目の月曜日、音楽の先生が病欠ということで、代行して「自分の名前をカタカナで書こう」という授業をしました。6年生の子たちは、去年この学校にお邪魔した時にも同じことを教えていたので、多くの子が覚えていてくれました。45分の授業ですべての子どもができるようにするのは大変でしたが、興味を持って取り組んでくれました。
 火曜日には5年生の体育の授業で、バトミントンとボーリングをしてきました。また、水曜日は勤務日ではないのですが、先生のお誘いで9年生のビーチバレー(もちろん室内です)にお供しました。こちらの学校は本当に校外学習が多いです。昼間の街中でも子ども達をよく見かけますし、学校でも週に何度も外に出ます。7年生以上の子は昼休みも外出が許されています。自己責任が前提にあるので、教師もあまり干渉しないようです。
 火曜日から金曜日まで、スペインに留学中の高橋くんが泊まりにきました。水曜日に日本語学科のスピーチコンテストがあったので、彼も連れて聞きに行きました。Goteborg大学の日本語学科では200人近くのスウェーデン人が日本語を学んでいます。北欧随一の規模だそうです。このコンテストでは、1年間日本語を勉強してきた学生が、野球、空手、家族、音楽など、それぞれの題目で五分程度のスピーチをしました。日本に行ったことのない人もいる中で、「まるで日本語」の素晴らしい発表でした。今回のヒットは「日本の変な食べ物」でした。そういえば、日本って珍味の宝庫ですよね。
 最近、留学生仲間とのビデオ鑑賞会にはまっています。「千と千尋」は今週だけで3回見ました。娯楽の少ないスウェーデンでは、自ら楽しみを開拓しないと生きていけません。
なめこ、くらげ、もずく、いかそうめん…
演目「日本の変な食べ物」
高橋くんが泊まりにきました
瑞日入り混じって飲み会
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第8報 2002年12月01日(日)

 最近は9時過ぎから3時ごろまでしか明るくならず、どんよりとした日々です。金曜日から、今年3度目の雪が降り続いていて、気温も氷点を行ったりきたりしています。気付いたら、こちらの寒さにも慣れていました。少しの時間なら、Tシャツとジャージ、サンダルでも外に出られるようになりました。われながら驚くべき適応能力です。
 木曜日には、近所にある遊園地、Lisebergへ行ってきました。歩いていける距離にありながら、「冬季休業」ということでずっと閉鎖されていたのですが、クリスマス前のライトアップで再開されたので、留学生仲間と行ってきました。ジェット・コースターなどの乗り物は動いていませんでしたが、スケート・ショーを見て、展望タワーにのぼり、1時間ほどスケートをして帰ってきました。スケート場では「さすがスウェーデン」という様な、すごく上手に滑る子どもがいました。
 クリスマス商戦も始まってきました。スウェーデンでは、12月の第1日曜日から毎週、ろうそくに1本ずつ火を灯すという習慣があります。ろうそく立ての4本のろうそくがすべて燃え尽きたらちょうどクリスマス、という算段です。家々の窓や、商店のショー・ウィンドウには、4本のろうそく立てが飾ってあります。これから1本ずつ、そのろうそくが減っていくのです。
 クリスマスの1週間前から、オーロラを見に行こうと計画しています。Kirunaという北緯68度の街まで飛行機で行き、3泊する予定です。その後、ストックホルムタリンヘルシンキをまわって、クリスマスに帰ってこようと考えています。12月27日から、親族8人がスウェーデンに来る予定なので、その準備も少ししなくてはなりません。
クリスマス前の短期開園です
Lisebergのスケート・ショー
寒さにも慣れてきました
今年3度目の雪です
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第9報 2002年12月08日(日)

 クリスマスが近づいてきて、関連商品が店頭に並び始めました。外国人の僕たちにしてみると、物珍しいものばかりなので、ついつい手が出てしまいます。
 月曜日にはGLOGGというクリスマス・ワインと、JULOLというクリスマス・ビールを飲みました。GLOGGはすごく甘いワインで、温めると強く香っておいしかったです。
 また、学校では教室の各窓ごとにクリスマス用のろうそく立て(前報参照)が置かれました。電器の模造品で、直流回路で作ってあるので、ひとつの豆電球をはずすと全部が切れます。それが楽しいらしく、子ども達は永遠それで遊んでいます。スウェーデンでは国教を定めているので、このような宗教的な行事を学校ですることも全然OKなのです。
 火曜日は実習先の小学校でスポーツ・デイがあり、ボーリングと崖登りに挑戦してきました。小学校4年生から6年生までが自由選択で種目を選んで出掛けるというものでした。異学年交流を大切にしている学校らしく、学年や男女が入り混じって遊ぶ姿が多く見られました。下級生が泣いてしまった時などは、上級生の子がフォローしに行くなど、学校が目指しているものが形として現れていました。僕にとって、このような日は、子ども達が一日中スウェーデン語の先生になってくれるので、色々な単語を覚えるのに絶好の機会となります。先生が見ていないところではスラング(汚い言葉)ばかり教えてきますが。
 土曜日には「男の先生達の飲み会」に呼ばれてきました。昼の12時に集まり、翌日朝6時まで飲み続ける、というかなり過酷なものでした。昼にスウェーデン料理を食べて、テレビゲームやダーツで遊びました。SNAPSという、アルコール度40度の焼酎をクイクイ空けていくので、すぐにみんなへべれけでした。酔った先生方とは柔道の話で盛り上がり、「俺は柔術やってた」「俺は忍術」という先生と取っ組み合ってきました。「日本では中学の体育で武道を少しだけ教わる」と言うと、「なんていい国なんだ。うちの学校でもやろう!」という話になってしまいました。酔っての上だと信じたいですが。
 校長も用務員も全く関係なくじゃれ合っていて、スウェーデンらしかったです。こちらでは、どんな役職であろうと、一歩職場を出るとそれはただの「役割」でしかないとみられるので、みんなで和気藹々となります。この学校が特にそういう環境だというのもありますが。また、外国から来た先生が多いのもひとつの特徴です。教員の給料が低く、社会的地位も安定しないため、スウェーデン人はあまりなりたがらないそうです。それに加えて、社会体制の充実していて、外国人にも公職を開放しているので、職にあぶれた学歴のある外国人がよく先生になるのだそうです。この学校では、オランダ、フランス、タイから来た先生が働いていまが、どこの学校でもそれが普通だそうです。「お雇い外国人」とも言えるけど、日本が憂う「国家百年の計」「国を愛する心」はどこへやら。
 金曜日には日本人学校で初授業をしてきました。小学校2年生の国語と算数です。といっても、児童は3人だけなので、授業らしいものではありませんでしたが。来週からは3年生を教えます。
子ども達の恰好のおもちゃ
各窓に置かれたろうそく
グロッグを飲むつどい
GLOGGgroggy
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第10報 2002年12月15日(日)

 ストックホルムでは、ノーベル賞の授賞式が行われました。今年は「史上初の日本人2人同時受賞」という栄光の授賞式でしたが、スウェーデン人からすると毎年と変わらない年中行事なので、特に騒がれることはありませんでした。生中継のテレビ番組では、日本での報道の過熱ぶりが伝えられました。スウェーデン人の憧れる「日本文化」をよく象徴して、晩餐会の中継では「ヤパーンスカ・キモーノ」(日本の着物)と連呼していました。
 水曜日の夕方にはスター・ダスト現象が見られました。最近は一年で一番日照時間が少ない時期ですので、光に関連した行事が多く行われています。そのうちのひとつが「ルシア祭」です。木曜日には実習先の学校に招かれて、ルシア祭に行ってきました。舞台では、白い衣装をまとった女の子達が「サンタ・ルチア」や「赤鼻のトナカイ」などを歌いながら、伝統劇を披露しました。学校は生徒の家族で一杯になり、とても賑やかで楽しい夕べでした。ホールの外では、前日に生徒達が作ったパンやお菓子、クリスマス飾りや生徒の歌を録音したCDの販売や、お菓子のくじをしていました。これらの収益は、遠足や教具を買うのに充てられるそうです。義務教育一般にかかるお金は保護者から徴収してはいけないと定められているのですが、コミューンから補助される金額では賄いきれないため、このような活動で捻出しているのだそうです。
 さて、(学芸大に留学していた)ダニエルが待ちかねていた、彼女のミンジョンがイェーテボリに到着しました。土曜日は、寮のすぐ近くにあるタワーに一緒に行って来ました。ダニエルは嬉しくてたまらない様子です。タワーからの展望の後、図書館でケーキを食べました。
 そして日曜日には、別のダニエル(日本大使館の通訳)の誘いで、教会のクリスマス劇を見に行きました。本当に素人とは思えない洗練さで、見ごたえ抜群でした。題名は「イエスが今の世に生まれたら」。耳元でダニエルが同時通訳をしてくれたので、とても楽しめました。ぶしつけながら、「なんでマリアは貞節を守っているのにイエスが生まれるの?」「イエスのお父さんは誰になるの?」と、今まで疑問だったことを散々聞いてしまいました。お悩み解決??劇の後は例のグロッグやクッキーを食べて、映画「007 "Die Another Day"」を見に行きました。007のことを、わざとスウェーデン語で読んで「ノル・ノル・ヒュー」と呼んでいます。普通は「ジェームス・ボンド」と言うのですが、ちょっとした趣向を加えて。その他、写真を撮るときの「はい、チーズ」をスウェーデン語にして「はい、オスト」と言ったり、もう何でもありです。
 来週はいよいよオーロラ旅行です。さて、どれほど寒いか楽しみです。
ろうそくに点灯
ルシア祭の舞台
マジパンに惑わされ…
Prinsessbakelse
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