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第106報 2005年10月17日(月)
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ジャパニーズ・ビジネスマン♪
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月曜日に帰国しました。バンコク廻りで17時間、満員の飛行機に大いなるストレスを感じながらだったので、成田に着いたときは
開放感に溢れていました。東京はまだまだ暖かいです。帰国の翌日は研究室の飲み会があり、久しぶりに同級生や先輩後輩にお会いして
積もった話を吐き出しました。スウェーデン滞在中はさみしさを感じていたので、少し落ち着きました。考えてみると、大学院に入って以来、
ずっと一緒に勉強してきて、お互いに傷を舐め合ってきた中なので、すでに切っても切れない縁になってしまったのでしょう。優しく頼れる
同級生に恵まれて幸せです。…感傷的かな??
先週はスウェーデン滞在最終週ということで、ひたすら忙しい一週間でした。毎朝7時に起き、学校開発庁のセミナーに参加します。
セミナーはストックホルム・メッセという展示場で行われましたが、セミナーの合間に学校開発庁のオフィスでインタビューの予定が入っていたため、
あっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていました。セミナーが終わると大急ぎで大学図書館へ行き、時間いっぱいまでコピー機に
せっつきます。夜9時に図書館が閉まると、図書館の外でパソコンを開き、コピーした文献の整理をします。そしてユースに帰るのが11時半とかで、
夕飯も食べずに就寝し、気が付くと翌朝です。こんな生活を一週間続けたら、スウェーデン人から「さすが日本人」と言われてしまいます。
セミナーでは以前にオフィスでインタビューした方々がたくさん発表されていて、とても面白かったです。特に感心したのが
「持続可能な開発」というテーマで学校開発を取り上げ、民主主義や政治の教育をその方法として扱っていた発表です。この国では
学校評議会に生徒の代表を参加させることが義務付けられています。なので、生徒会が教師の解雇を要求することも可能です。
また、生徒会組織は学校、コミューン、そして全国に、基礎学校、高校、大学などあらゆる学校レベルの組織網を作っているので、
社会や政治に対してもアプローチしたり、影響を与えることができるようになっています。持続可能な学校開発を考えると、確かに生徒自治や
民主主義は欠かせない側面になると言えます。
他にも、ITを使った教育や男女平等、オルタナティブな教育の課題など、5日間で消化しきれないほど多くの発表がありました。
火曜日には学校大臣のバイラン氏と学校開発庁長官のピア氏にお会いし、少しお話しました。ピアは「日本にも学校開発庁あるでしょ?小さいだろうけど」と。
…まったく存じ上げませんが。政治家は別の方面でがんばっておられるようです。ちょっとがっかりでした。
帰国して早々ですが、再来週の発表に名乗りを挙げてしまいました。「フレッシュな間に」ということですが、忙しさは当分続きそうです。 |
イブラヒム・バイラン学校大臣と
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素人シナモンロールに挑戦
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第107報 2005年11月09日(水)
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無情なワンクリック社会へようこそ
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2回の論文指導が終わり、デューイの発表も今日終わり、ようやくひと段落です。
論文を書いていると面白いくらいに自分の弱さが見えてきます。スウェーデンでの資料収集で200冊ほどの文献を持って帰ってきたのですが、「さぁ、書くぞ!」という段になると、あれがない、これがない、と始まります。
無くても書くしかないのです。そして、四苦八苦しながら2ページくらい書いたところで時計を見ると、8時間経過。あれ、2時間くらいだと思っていたのに…。
22日に1章提出、12月10日までに本論第1稿提出との指示が出ましたので、椅子に根をはって臨戦態勢です。
スウェーデンに行って、いろいろな大学院生にもお会いして、何だか自分のヴィジョンが狭くなっていたことに
気が付きました。将来についても、勉強についても、「どうにかなるさ!」と少しだけふっ切れました。実際、それどころじゃなくなってきたし、悩むのは論文ができてからにしましょう。
日本の景気が良くなっていると聞きます。実際にさまざまな指数や動向調査は景況感を証明しているようです。
僕は大学院に入った頃からインターネットで株取引をしています。
株取引は流行りでもありますが、社会が動いている方向がよく分かって勉強になります。
でも、クリック一回で何万円と損得が生じるのは未だに実感がつかめません。
お金がバーチャルに運用されて、実態の無い社会が加速度的に膨らんでいるのはものすごくクリアーに感じることができます。
そして最近思うことは、資本主義の拡大志向に未来はあるのか、ということです。まぁ、良平と議論するのが早いのかもしれませんが。
今でも資源開発のために、市場原理の「導入」などといって、平和に暮らす地域の人たちを資本主義の嵐の中へと巻き込んでいます。
竜巻や台風、ハリケーンなどは、「余地」がある限りにおいて発達するわけで、余地が無くなったら消滅します。
同じように、資源の開拓に行き詰まりを感じた瞬間にこのシステムは崩壊するのではないかと心配しています。
そして、これは教育にも同じことが言えると思います。最近読んでいるスウェーデンの教育学者の論文では、
マックス・ウェーバーらの合理主義的組織論と、それから派生した新合理主義的組織論、そしてシステム主義的組織論を比較していました。
領分の拡大という方向だけではなく、お互いの葛藤の中で社会を成長させる方略も採り得るのではないか、と浅はかをさらにスライスしたような希望を見ました。
夜中にコンビニに行こうとすると、うちのマンションの横に老ホームレスが寝ています。おかしいですね、こんな社会は。
最近は毎週お父さんに会っています。これも最近流行りの仲の良し親子です。
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両親と横浜ディナー
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文献の整理がようやく完了
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第108報 2005年11月25日(金)
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田舎の学問より京の昼寝
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案の定、日本にいると更新が遅くなります。最近はほとんど家から(というか、部屋から)出ないで過ごしています。
非常に不健全な生活ですが、その分勉強は捗ります。バランスが大事だと思うのですが、日によって思いっきり忙しく出かけるか、
朝からお風呂に入っているか、極端なリズムです。
先週末は一橋大学で行われたシンポジウムに参加しました。ロンドン大学の教育社会学者、ジェフ・ウィッティ教授が
招待講演をした後、日本の研究チームの発表と検討、そして翌日にはスウェーデン人の学者2人の発表などがありました。
ウィッティ氏は教育の地方分権化や新自由主義の問題などを扱う世界的な権威で、僕の修士論文にも関わりが強い方です。
大学院のゼミでも彼の著作を検討しました。シンポジウムには東大の先輩や同級生が4人来ていて、一緒に講演を聞きました。
先輩2人と僕はシンポジウム後のレセプションにも参加し、元東大の堀尾先生や学芸大の陣内先生、そしてウィッティ氏とも親しくお話しすることができました。
ウィッティ氏には、シンポジウムの後に新宿へご案内することを提案し、東京都庁の展望フロアーや歌舞伎町などの繁華街へ
お連れしました。夕飯に入ったおでん屋さんでは、講演の内容で疑問に思ったことをバシバシ質問し、ありがたくも修士論文の指導まで
していただきました。僕が今読み進めているスウェーデンの学者の名前が次から次へと出てきてびっくりしました。やはり、世界に名の通る人は、
細かいことも疎かにせず、幅が広いんだなぁ、と心を奪われてしまいました。
僕は未だスウェーデンのことで精一杯ですが、ウィッティ氏は、僕が博士課程に進学したら、イギリスとの比較をしたら面白いのではないかと
言っていました。僕の研究テーマの学校開発は、中央でもなく、地方でもなく、その中間にある組織(学校)の活力を中央や地方が
利用としている面白い例だと言えます。
しかし、それが社会の仕組みの違いによって構造が変わってきます。
そこを捉えて、社会民主主義と市場自由主義の好対照ができるのではないか、と言っていました。なんだか広くて深い世界の話です。
最近の修士論文の指導会では、「いけいけゴーゴー!!」な感じです。佐藤先生には、なぜだか毎回「寛平君、自信を持って。」と
言われます。そんなに不安そうな顔をしているのでしょうか。とりあえずの形でしたが、火曜日の指導会では第一章の部分を提出しました。
といっても、まだメモの塊のようなものです。来週には題目を決定しないといけないので、そろそろ修士論文の全容を組み立てなければ
なりません。でも、「自信をもって」とにかくも、完成に向けてがんばりましょう。
指導会の後では、我が家で「ボジョレーを飲む会」をしました。ブルジョアな響きですが、実際ボジョレーは5人で半分しか飲まず、
努力してもフランス人にはなれないことが判明しました。バレーボールのグラチャンを見ながら、「ナポレオンスタイル」に腹を抱えながら、楽しい
ひと時でした。
昨日はお父さんとお兄ちゃんが我が家へ来て、夕飯を一緒に食べました。残ったボジョレーを飲みながらです。
お父さんは「魚の煮つけが食べたい」とのリクエストだったので、
鯛のお頭をはじめて煮付けてみました。出来上がってみて、お父さんに見せたら「あれ、ウロコとってないの?」
・・・(汗)。でも、まったく害は無く、おいしく食べられました。兄上は相変わらず仕事が恋人で、あれもこれも仕事でした。
小さい頃はよく喧嘩をして、噛み付いたり引掻いたりしていました。まぁ、僕が譲れないほど頑固だったわけです。
でもしばらくは休戦中です。最近は違った道の話が聞けるので楽しいです。
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部屋にメディアが溢れています
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ウィッティー教授とおでんで語る
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第109報 2005年12月09日(金)
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一陽来復を待ちわびて
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「人生はバランスとバカンスです」
論文のことで頭がいっぱいになるのを防ぐおまじないの言葉です。最近ははまりすぎて、人に会うたびにこのフレーズを連呼しています。
前回の指導会で第一章を提出して以来、一週間はまったく勉強をしませんでした。本も読まず、字も書かず。そして、不安が溜まってきた頃にようやく「再起動」です。土日・祝日は完全休業日と決め込み、超スローペースで書き続けています。12月10日までに第一稿を提出するように言われていましたが、
それは到底無理ということで、とりあえず第二章完成に目標変更しました。(誠に勝手な判断ですが・・・)
最近は本業しか活動していないので、自宅と大学の往復(片道約5分)が大イベントです。そんな簡素な生活の中で、ベランダ農業のパセリが芽を出し、パンジーがいくつもの白い花を咲かせているのを見ては感動しています。
先日は青ねぎとにんにく、そしてレモンも植えました。にんにくは物凄い生命力で、2日のうちに根をぐんぐん伸ばし、緑色の芽も角のようです。植物はうるさいことも言わないし、最高のペットだと思います。
そして、最近気が付いたことは、空気のおいしさです。玉子焼きを作るときも、ホットミルクやホイップ・クリームを作るときも、泡が細かいとおいしく感じます。結局、空気を味わっているんだなぁ、と思うわけです。
「霞を食べて生きる」とは批判的な言い回しですが、実際、霞もおいしいのかもしれません。
今報の写真に歯式図を載せました。2週間ほど前でしょうか、ドイツ製の固いグミ「ハリボー」を食べていたら、奥歯の銀の詰め物が取れてしまいました。早速歯医者に行ったら、あっちもこっちも、むし歯だそうです。
ほとんどのむし歯は僕の過失ではなく、親知らずが横向きに生えてきたことによるダメージだったのですが、結果的に上下の親知らず4本と、その手前の歯を中心に、合計で10本の歯を治療する運びとなりました。
物理的、精神的な痛さに加え、経済的にも悲痛なお知らせでした。8020運動に大賛成なので、この機会にしっかりきれいにしておきたいと思います。
気が変になったような唐突な文章のオンパレードでしたが、代わり映えのしない日々のせいですので心配はご無用です。日曜日はアドスタの中村さんの結婚式に出席します。人生初のお呼ばれなので、とても楽しみです。
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歯・オールド・アー・ユー??
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銀杏の絨毯がサクサクと鳴ります
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第110報 2005年12月18日(日)
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旧暦のクリスマスでもいいですか?
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定時通報を更新しようとしたら、誤って前報を削除してしまい、大慌てです。良平に電話したら
一時ファイルを消したばかりだというし、大学に行ってもキャッシュは残っていないしで、絶望的状況でした。塩野さんに電話したら出先だということで、
最後の砦、実家に電話してみました。「・・・つながらない。」明子はピアノの発表会だったそうで、帰り際の携帯でようやくつかまりました。と、いうわけで、
一件落着。バックアップはこまめにとっておかないと、と反省しました。関係各位にはご迷惑をおかけしました。
さて、先週末は中村さんの結婚式に出席しました。生まれて初めて出る結婚式だったので、楽しみ半分で緊張もしていました。
しかしまぁ、新郎新婦の軽やかな雰囲気によって、とても和やかな時間を過ごさせていただきました。
みんながみんな、文句なしにお祝いできるので、結婚式というのはありがたいイベントです。
「その幸せを少し分けて!」と言ったら、披露宴の出し物で宝くじを10枚もいただきました。
3億円で何しようかなぁ??
昨晩は、両親に廻らないお寿司をご馳走になりました。最近廻るお寿司もほとんど行きませんが、
お店で食べる寿司はとてもおいしかったです。年末になるとテレビの食べ物番組が増えますが、最近は特に、
おいしそうにお寿司を食べているのを恨めしく見ていたので、大変満足でした。
ところで、食べ物番組というのは、日本やアジアのテレビの特徴なようです。スウェーデン人が日本に留学した際、
どのチャンネルでも食べ物番組をやっているのを見て、何が面白いのか分からなかったという話を聞きました。
僕は逆に、スウェーデンのテレビで、タレントが訳の分からないかつらを被って、政治家を皮肉ったコントを見ていても、何がやりたいのか全く理解不能でした。
もうすっかり日本人です。
「今年は年賀状なんか出さないぞ!!」と思っていたら、クリスマスカードが届いてしまいました。う〜ん、返事を書くかぁ・・・。
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中村さんのご結婚式
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廻らないお寿司をいただきました
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