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第101報 2005年09月05日(月)
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麦茶中毒も今日まで
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(2005年09月08日掲載)
別に何の用事があるわけでも無いのですが、気分が先走って忙しさを感じています。今朝は6時半に起きましたが、頭痛と悪寒を感じ、
出発しようと思った時にもどしてしまいました。暑いのに寒いという感じで、汗が大量に吹き出し、まさに脱水症状でした。「やめちゃおうかな」とも
思いましたが、ひと月半の予定が無になってしまうので、薬を服用して出発しました。修士論文と卒業がかかっているので、ここは無理をしなければなりません。
そして今はタイ航空の機内です。お父さんに借りたノートパソコンは出発直前にハードディスクが壊れてしまいました。
なので、ただでさえお金が無いこの時期に、パソコンの買い替えです。父の日に母に借りた40万円は出発前に20万円強にまで減ってしまいました。
バンコクで豪遊しようと思ったのに(涙)。フンダリケッタリです。
先週は細かなことがいろいろとありました。ひとつひとつは写真のページの説明をご覧ください。
特に印象に残っているのは、東大の院生有志でやっているデューイ勉強会です。授業のある時期は毎週集まって「民主主義と教育」という本を読んでいますが、
24日は夏休みの特別企画ということでドナルド・ショーンの「専門家の知恵」を読みました。最近は教職の専門職大学院構想が新聞等にもよく出ています。まぁ、うちの親分が
その中心人物なのですが。修士論文にも直結して、
「専門家」の概念について検討したこの本は新鮮な視角を提供してくれました。
また、先々週の土曜日と昨日は教員採用試験を受けてきました。集団討論と個人面接、ピアノの弾語り(もみじ)と水泳(平泳ぎ25メートル)でした。
集団討論では「公立学校の教員向けの月刊誌を発刊したい。 1)創刊号の特集記事をひとつ 2)連載企画を3つ 3)雑誌のキャッチコピーをひとつ話し合って考えなさい」という課題でした。
また、個人面接では5分間の模擬授業をやらされ、教育に対する考え方や今までの学んできたことについてたくさん質問されました。うまく答えられたかどうかは
分かりませんが、緊張せずに和やかな面接でした。
さて、タイとスウェーデンですが、今日から10月17日まで行ってきます。今年に入ってから三度目の海外で、
2005年の3分の1は国外にいる計算になります。忙しいねぇ。今回はスウェーデンにおける学校開発
の調査ということで、ストックホルムの学校開発庁と学校庁、ヨテボリ、カールスタットとダーラナ地方にある
大学や高等教育機関を訪れる予定です。学校開発庁は2003年に発足し、学校とコミューンと大学やその他のネットワークを
つなぐ役割を担っています。日本でも多くの先生方が先進的な実践をされていますが、それぞれの事例をまとめたりつないだりする
機関が無いために孤立するケースも多くあります。また、教室での日々の実践や職員室内での人間関係を適切な
関係に位置づけることはなかなか難しいものです。答えが無い問題でもあります。そこで、スウェーデンの
学校開発庁はどのようにその役割を負っているのか、また、国家としてどのような責任の取り方をしているのかということを調べたいと思っています。
佐藤先生には「宝物探しにならぬよう」と付言されましたが、苦悩はそれとして、正面から見つめられれば、と思っています。
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デューイ勉強会・夏休みスペシャル
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ベランダのオクラも収穫時期です
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第102報 2005年09月11日(日)
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タイでアジアを考える旅
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タイにいる間は至って好調だったのに、スウェーデンについたら再び体調が悪化しています。
頭痛と腹痛のダブルパンチです。タイで変なものを食べたのでしょうか。昨日は東大の井関さんと
京大の本所さんとお昼を一緒に食べたのですが、気持ちが悪くて大変でした。やさしいお二人は
一緒に薬を買いに行ってくれました。薬を飲んでようやくまともな程度です。
タイは少ないお金でゴージャス気分のすばらしい国でした。汚くて、臭くて、辛くて、意地汚くて、という
面もありますが、活気がみなぎっていて、みんな一生懸命でした。一方で、外国企業の
看板が街を埋めているのが気になりました。開発独裁というお国柄でしょうが、いくら一生懸命
働いても、おいしいところは全部外国にもっていかれているように見えました。グローバル
社会の「南の国々」を見た感じです。結局、すばらしい文化を持っていながら、
自文化を切り売りして西洋スタイルに馴染んでいるので、開発後の社会像が無いままに突き進んでいる
ように思いました。言ってみれば、着物を売って洋服を仕立てているようなものです。かつての
日本もそうだったのでしょうか。
映画館へ行って驚いたこともありました。映画前の宣伝が終わり、「さぁ映画が始まるぞ」
という時に、客席にいた全員が立ち上がりました。スクリーンには「国王に最大の敬意を示してください」という
字幕が流れ、国王の生い立ちを追った写真と国歌が流れました。王制の国なので、当然といえばそうですが、
初めての経験でびっくりしました。街中を見ても、国王や王妃の巨大な写真パネルがたくさん掲げられています。
特に、大規模な開発が行われているところや街の中心部に多く見かけました。がむしゃらは
ここからきているのでしょうか。
それでもバンコクは魅力的な街でした。寝ている大仏で有名なワット・ポーをはじめ、
都市の喧騒の中とは思えないような美しい寺院がたくさんありました。信心深い人たちは、
道々にある寺院の前ではお辞儀をして通ります。「サワディカーップ」というときの合掌も
なんとなく気品があります。折々の所作に現れる文化を、ぜひ後世まで残しておいてほしいと思いました。
そして南から北へ、温帯から寒帯へ、ミネラルウォーターが30円の国から300円の国へ。
スウェーデンは本当に物価が高い。タイから来るとさらにそれが身にしみてしまいます。一昨日は
空港へ着いてそのままウプサラへ行きました。
そんなわけで、続きはまた今度。
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昼間のお茶の間主婦です
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ウプサラ大学の文句
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第103報 2005年09月22日(木)
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気温と財布は寒くとも、人の心は温かく
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「劇場型」と呼ばれた総選挙は、強者圧制の結果になりました。マスコミはなぜ「激情型」と名付けなかったのか、不思議です。
先週は、来る日も来る日も図書館へ行き、並んでいる人に申し訳なさを感じながらコピー機に噛り付いていました。
こんな節制はしたことが無いくらいの生活で、朝と昼は兼用で安いパンを食み、飲料水は持ち歩き、必要外の支出をしないように
しています。さまざまな方にお夕飯をご馳走になっていて、辛うじて健康という感じです。幸せな星に生まれたのでしょうか。
それでもスウェーデンにいると自然にお金が減っていきます。泊まっているユースホステルは一泊3000円、交通費やインターネット代で1000円、
そしてコピー代が5000円(300クローナで500枚)ほど、という具合です。一日1万円で40日いると・・・帰れなくなっちゃうかな?
前報はダニエルの回線を使って更新させてもらいました。ダニエルはひげを伸ばして、トロールのような容姿になっていました。
彼はこの数ヶ月で30件以上の仕事に応募しましたが、いずれも撃沈したそうです。社会福祉が充実したスウェーデンとはいえ、
学生ローンに頼ってダニエル&ミンジョンの生活費を工面するのは限界だということで、二人で韓国へ引っ越す予定だそうです。
楽しめる状況ではないけれど、次はソウルで再会かな。
今週は「修論の本丸」、学校開発庁へお邪魔しています。OECDのセミナー(第94報参照)でお会いしたアン・クリスティーンさんが
面倒をみて下さっていて、校長のトレーニング・プログラムの責任者や教育関係者用ウェブページの編集者、科学への興味を引き出すための施設を取りまとめている方など、
多方面のリーダーにインタビューをすることができました。学校開発庁は100人程の小さな組織ですが、それぞれの分野のエキスパートが席を並べていて活気があります。
ネットワーク作りの支援にITを積極的に導入しているのも特徴と言えます。
また、コミューンや学校など、個別のユニットに対する支援も行われています。金曜日にはストックホルム部署の方に同行して、オーレブローで行われる
コミューンの会議に参加する予定です。テーマは「学校における政治」だそうです。スウェーデン語の心配はありますが、とても楽しみです。
金曜日はその足でヨテボリへ移動することにしました。ヨテボリでは久しぶりにリセベリ(東京ディズニーランドの200分の1位の遊園地)に行ってきます。
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再び留学生の気分で
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この看板は危険すぎかと・・・
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第104報 2005年10月02日(日)
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爪を切ると運が良くなります
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口内炎と指のささくれを体調の目安にしています。ストックホルムについた頃には、口内炎がいくつもできて
痛かったのですが、しばらくしたら消えてなくなりました。ささくれも次第にきれいになってきています。
水曜日にヨテボリからハルムスタッドへ移動し、スカンディックホテルに滞在しています。今回の旅行では初めてにして唯一のホテル生活です。
とはいえ、今年の3月にお母さんとウィーンで泊まったヒルトンのポイントを使っているので無料なのです。ハルムスタッドのユースホステルを探したのですが、夏季のみ営業という
ことで「やむおえず」と判断しました。朝食もインターネットもジャグジー&サウナもついて、超快適な週末でした。
「お金がない」と節制生活に四苦八苦していたら、祖父母とお父さんからの神のささやきを耳にしました。実際、本屋へ行っても「高いなぁ、図書館でコピーしよう」と考え、
図書館へ行くとコピー代が気になってためらってしまうという状況だったので、本当にありがたいです。これで勉強に言い訳もできなくなりました。
先週の金曜日は学校開発庁の方に同行してオーレブローの会合に参加しました。ソーシャルワーカーと警察、学校、地域の政治家がつくるネットワークが主催する会合で、
この日のテーマは「学校における政治」でした。学校で政治を扱うことは日本ではタブー視されがちですが、スウェーデンでは積極的に行われています。
ただ、教師の政治信条が授業に影響したり、教師同士が考えの違いから揉め事になったりと教育上の課題が挙がっています。最近はネオナチの台頭や移民・人種問題、デモへの参加可否も
学校内外での課題になっています。会合にはパネリストとして学校開発庁、地元警察、テレビ・ラジオのジャーナリストを招き、グループワークを通じて課題解決の方向性を話し合いました。
オーレブローから直接ヨテボリへ移動し、翌日はアレクサンダーとリセベリへ行きました。アレクサンダーは20クローナでいきなり巨大KEXチョコレートを当てて、盛り上がりました。
留学の最後に悲しい事故があった(第30報参照)ジェットコースターにも乗りました。乗り場にはなんと、「携帯を落としても
リセベリでは責任を負いません」という掲示が新たに設置されていました。僕以外にも不幸にあった方がいらっしゃるのでしょう。リセベリの後はアレクサンダーのいとこの25歳の誕生日パーティにご一緒しました。
月曜日は京都大学からストックホルム大学へ留学している本所さんを連れて、エクランダ基礎学校へ行きました。僕が留学中に主に関わっていた子達は9年生になり、学校の最年長です。
そろそろ進路選択も迫られる時期で、勉強も忙しくなっているようでした。9年生の頃になると、色気づいたり、格好つけてタバコやスヌース(葉タバコの一種?)に手を出す子もいるはずなのですが、
このクラスはなんだかとても無邪気でした。6年生の頃は問題児が多くて先生がノイローゼになるようなクラスだったのですが、成長していないのか、のびのび育っているのか、
不揃いなくそがき集団そのままです。そして最新の流行ごとが「カンチョウ」だそうです。・・・どうにもならん。
ヨテボリの後はハルムスタッドで学校開発に取り組んでいる学校巡りです。やはり現場の先生にインタビューすると、生の声が聞けて安心します。
「書き物のなかにはきれいな言葉が踊るけど、現実には何の役にも立たないわ」と。学校開発の実践校に応募した動機は「そりゃぁ・・・お金だよ(笑)」という
感じで、どこかの国と状況は同じなようです。学校庁と学校開発庁の軋轢も現場には届いているようで、「子ども(学校)がお母さん(学校庁)とお父さん(学校開発庁)に叱られたり褒められたりしているんだよ」
と高校の校長は喩えました。なるほど、これは日本の集権的な体制では生まれないコメントです。
「今日はどんな新しいことがあるのかな?」と、毎朝うきうきしています。論文としてまとまるかは別問題ですが、充実した勉強をしていると思います。
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2kgのKEXチョコレートをGET
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いたずらも大切な学習です
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第105報 2005年10月08日(土)
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東奔西走。とはいえ北は北。
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タイトルの通り、今週もスウェーデンを西から東へ横切ってきました。先週末はゆったりとした休暇を楽しみ、月曜日はハルムスタッドの高校を見に行きました。高校からの帰り道で長距離バスに乗り、
一路オーレブローへ向かいました。火曜日と水曜日はカールスタッド大学の一派が取りまとめる学校開発ネットワークのコンフェレンスに参加しました。そして木曜日はカールスタッドへ、金曜日はオーレブローからストックホルムへ・・・。本当に行ったり来たりしています。
学校開発コンフェレンスには多くの教育関係者が来ていました。その数は1500人ほどで、学校開発への熱気が感じられました。この一派は教師グループの中で問題点を話し合い、そこで出た問題の解決を学校内外のネットワークを通じて解決あるいは緩和しようと試みています。
このネットワークは「反省的実践」の方向を模索していますが、対立するストックホルム大学の一派は「効果的な学校」を目指した目標と評価での開発を模索しています。お互いの主張が相容れず、国のレベルから学校内のレベルまで対立する構造ができてしまっているようです。
また、トップが替わる度に揺り戻しがあるようです。まぁ、研究のことをあまりだらだら書いても面白くないので、この辺で。
ところで、昨日は東京都の教員採用試験の合格発表がありました。そして、見事再合格!!です。
集団討論や面接試験では一切媚を売らず、思ったことを(かなりクリティカルに)そのまま言ってしまったので、ちょっと心配していたのですが、何とかなったようです。
えらいぞ、東京都!!(笑)
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ティルサンドの海岸へ
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紅葉に囲まれるオーレブロー城
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