定時通報

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第76報 2004年11月09日(火)
 度々「忙しい、忙しい」と書いていますが、どうやら最近のペースが一番僕の生活に 合っているのではないかと思うようになりました。思えば、大学と小学校の組み合わせは スウェーデン留学中とほとんど同じになっています。双方で充実してきて、実り多き秋の香りがします。
 先週は三宅島の小中高合同文化祭へ行ってきました。来年2月に避難指示が解除され、一斉帰島が 開始される予定のため、秋川での文化祭は今回で最後となります。恒例のファッションショーに加え、 バンドや出店、作品展示など盛りだくさんの内容で、少ない人数ながらがんばっている様子がよく伝わってきました。 子ども達や先生方の会話も帰島の目処がたったこともあり、とても朗らかで明るかったです。来年は 三宅島観光の年になるのかな?
 さて、前報の「ストーリー」の続きです。考えてみれば、我々が事物や関係性を捉えようとする 段階ですでに、「ストーリー」は生成されているのかもしれません。では、生まれたばかりの 赤ちゃんは、どのようにストーリーを組み立てるのでしょうか。疑問です。もうひとつの疑問は、 教室を見るときに、子ども達の「グループ」を認めます。しかし、この「グループ」は物理的な 関係ではなく、観察者の認識の上だけで成り立っている枠組みです。ところが、同じ教室を見て、 他の観察者も同様に「グループ」を認識することができるのはなぜでしょう?不思議です。 西平ゼミでシャーマンがどうのこうの、という 話をしていますし、前期の現象学でもこんなことをやっていたような気もします。ようやく大学院での お勉強が繋がってきたのでしょうか・・・。
 最近は小学校でとても感動的な実践に連続して出会っています。5年生の国語で「山のあなた」という 詩の教材がありますが、これを「天国のお話」だと解釈した子がいました。また、算数の「平行四辺形の面積の 求め方を考えよう」という課題や「あまりのある小数のわり算」でも、非常に深い学びをする子ども達の 姿に出会いました。-奇跡的-としか表現できないような場面に連続して遭遇しています。秋ですね。
来年2月の帰島が決定しているため、秋川では最後の文化祭です
三宅の文化祭
けちょんけちょんでした(笑)
セカンド指導員のじゃれ合い
第77報 2004年11月22日(月)
 昨年の暮れに倒れてから、意識が戻らないまま長く病床で苦しんでいた父方の祖父が、木曜日の早朝に亡くなりました。 1月に卒業論文を出し終えたその足でお見舞いに行きましたが、それきりとなってしまいました。連絡を受けたその日に 姫路に向かったのですが、結局ほとんどお役に立てず、まわりでボーっと見ているだけになってしまいました。おじいちゃんは むくみをとってもらい、心もちすっきりした顔をしていました。先に旅立ったおばあちゃんと仲良くしているのでしょうか。
 告別式の後には、妹と姫路城までジョギングしました。林家では大きな受験の前に親族が亡くなります。僕と良平が高校を受験したときは 父方の祖母が亡くなりました。お母さんの解釈では「天国から応援してくれているのよ」だそうです。そして来春は妹の高校受験です。 妹は僕と兄の母校に進学したいと言っていました。将来のことや家族のことなど、ジョギングをしながらたくさん話をしました。 口と脚と両方動かしたはずですが、脚だけが筋肉痛になりました。日々のトレーニングの賜物です。
 本報では、大学院の同級生と見に行く予定にしていた劇団四季のミュージカル、CATSのことを書こうと思っていたのですが、 上述の事情で行かれなくなってしまいました。方々にご迷惑をお掛けしまして申し訳ありませんでした。大学院では、出だしにはいろいろゴタゴタも ありましたが、最近は授業後に残って議論の続きをしたり、誘い合ってご飯を食べに行ったり、勉強会を計画したりと、とても良い雰囲気になっています。 ずっとべたべたとする必要もありませんが、ともに修士論文と闘う仲間として、これはど心強いチームはないと思います。和辻哲郎に依れば、信頼は時間らしいからね(笑)。
 すこし前の授業ですが、唯識哲学の「薫習」(くんじゅう)という言葉を教わり、目からウロコでした。「あたかも、布に薫きしめられた 香の匂が、消えずにそこに残るように」経験が跡をつけていくという意味だそうです。日常の生活にゆとりをもち、コクや深みのある香りを 染み込ませたいものです。
菊池ゼミのA型は概して几帳面ではないらしい
ネオリベに対抗する東大ゼミ
小さい頃は外のトイレが怖かったおじいちゃんち
「土地の人」の善し悪し
第78報 2004年11月30日(火)
 風邪をひきました。今朝は7時半に目覚ましをセットしたのですが、5分おきに9時半まで鳴り続けていました。意識が朦朧とし、 節々が痛かったので、目覚ましを止める元気もなく布団で耳を塞いで耐えていました。午後の授業には何とか出ましたが、頭がまったく 働かず、かえって家で寝ていたほうが良かったかもしれないかと思いました。木曜日からまた小学校なので、明日中に治さなくてはいけません。
 先週は葬式の影響が漂い、とても忙しかったです。家庭教師も断るに断れず、ついに「身をやつしてや」状態になってしまいました。 もう11月も終わりなんですね。今年も振り返りの時期となりました。
 忙しいなかでクリスマスカードを書き始めました。祖父が亡くなったので、年賀状は出せないのですが、海外のお世話になっている方々には 特例といたしましょう。カードは、日本的なもの、細工にこだわっているもの、シンプルなものを選んで買っています。毎年違った種類のものを送ろうと思って いるのですが、年を重ねてきたために最近は難しくなってきました。コメントも、通知表の表現に悩む先生のような心もちで書いています。
 火曜日はアドスタのみなさまと久しぶりに遊びました。ラクーアの乗り物やお店を楽しんだ後、水道橋のそば居酒屋とカラオケへ行きました。 東京ドーム周辺ではコスプレのイベントが開かれていて、「テニスの王子様」やら「ナルト」やらの格好をした異様な集団が闊歩していました。 どんなに最先端のコスプレよりも、僕にとってはガチャピンが一番好印象でしたが。その他、芸人の「友近」の新曲披露のステージやマーチングバンドの ストリートパフォーマンスもあり、盛り沢山でした。家から10分くらいの東京ドームですが、普段はなかなか遠く感じています。
 土曜日は江戸川区の野生体験キャンプが20周年を迎えたということで、記念祝賀会へ出かけてきました。晴れやかな舞台で、 関係者の気合の入り方がひしひしと伝わってきました。祝賀会の直前には「わかばの会」(キャンプ指導経験が浅い連中の勉強会) の話し合いもしました。来月からはいよいよ具体的な行動開始です。
 明日から3週間、ダニエルとミンジョンが来日します。ダニエルとは学芸大留学中に知り合い、僕がヨテボリに滞在していたときには 携帯電話の契約からトラムのチケットの払い方まで面倒を見てくれた仲です。日本語能力検定の1級を受検するそうで、 よい結果が出ることを願っています。
久々のアドスタ緊急ミーティングは水道橋周辺でした
近くて遠い東京ドーム
野生20周年式典直前に、なにか反抗期な若者集団
次々と沸き起こる不安と悩み
第79報 2004年12月07日(火)
 今朝発表されたOECDの国際学力調査(PISA2003) > PISA2003 がニュースを賑わしています。3年前の「読解リテラシー」に続き、今回の「数学的リテラシー」でもフィンランドがトップになりました。 日本は6位、スウェーデンは17位となり、それぞれ厳しい結果となりました。OECDはパリ時間の0時1分を国際的な解禁時間としてコントロールしていましたが、 ドイツでは事前に結果が漏洩し、ニュースで報道されていました。また、スウェーデン教育庁(skolverket)も12日付けの分析レポート > Pisa 2003 を6日にインターネットに掲載し、実質的に公表してしまいました。 前回の調査結果が悪く、「PISAショック」という社会現象まで巻き起こした両国では、気が気ではなかったのでしょう。日本も健闘したとはいえ、決して良い結果だとは言えないので、今後の 教育改革を後押しする根拠として使われることになると思います。14日にはIEAの国際数学・理科調査(TIMSS 2003) > website の結果が公表されますが、こちらの結果も注目しています。
 ダニエルとミンジョンが来日し、4日の午前中に再会しました。二人は入籍したそうで、ミンジョンはキム・マークステト・ミンジョンになったそうです。日本で知り合ったスウェーデン人と韓国人、 多国籍夫婦です。ミンジョンが渡端した当初は、お互いに日本語で会話していましたが、今はほとんどスウェーデン語で交わしているそうです。かつてミンジョンに「スウェーデン語でけんかしよう」と ふっかけたことがありましたが、今では敵いっこありません。
 ダニエル夫妻と別れた後は学芸大で行われたシンポジウムに行きました。NHKで放送されて反響をよんだ(らしい)「いのちの授業」の金森先生や、東大の佐藤先生、国研の木岡先生が提案されました。 母校の学芸大が会場だったので、学部時代にお世話になった方々にもたくさんお会いしました。
 シンポジウムが終わると、武蔵野市のセカンドスクールで指導員をした仲間を呼び集めて国分寺の居酒屋へ行きました。 「梅酒のグレープフルーツしぼり」という変わったメニューがあるお気に入りの店に行きました。
 翌日は在日スウェーデン大使館のjulbasar(クリスマス・バザー)へ行ってきました。12月13日に行われるスウェーデンの年中行事「ルシア祭」の出し物や、バザー恒例のくじ引きもあり、 楽しいひと時を過ごしました。
 ところで、来年の4月までの予定がほぼ決まりました。父親の出張命令が出たことにより、1月下旬にくっついて渡米することにしました。 高校1年のときに町の派遣で初めてホームステイをしたウィスコンシン州のラシン市へも寄る予定にしています。今年の1月はサンフランシスコとロサンゼルスのエジソンアカデミーを 見てきましたが、今回はラシンと(可能であれば)サンノゼの公立小学校を見学します。まだ予定が煮詰まっていないので、今後詳細を打ち合わせなければなりません。
 また、来年2月から4月にかけては、スウェーデンを中心とした欧州の小学校を見に出かけてきます。修士論文の資料も集めないといけないわけです。 スウェーデンでは、僕が卒論の主題にした「ログブック」の実践に関する報告書が、今年の2月に初めて刊行されました。今回の旅行ではこの文献と、教職員組合の機関紙を中心にして、 ポートフォリオがスウェーデンに導入された過程と、それがログブックの実践へと発展して行った背景を追いたいと考えています。目下の課題は語学病と金欠病です(涙)。
入籍したそうで、もはや多国籍夫婦です
ダニエル&ミンジョン来日
在日スウェーデン大使館のクリスマス・バザー
ルシアのエキシビジョン
第80報 2004年12月14日(火)
 明日公表予定の国際数学・理科調査(TIMSS 2003) > TIMSS 2003 の結果が、スウェーデンとノルウェーではすでにインターネットでレポート > スウェーデンのレポート が公開されています。 シンガポールが1位で、以下韓国、香港、台湾、日本と東アジア諸国が続きます。イタリアの健闘が目立ちますが、他の国々は総じて前回と同じような順位でした。地域的な偏向が顕著に見られ、東アジアと東欧は優秀な成績を収めています。 PISA2003で1位になったフィンランドや、注目のドイツなどは今回のTIMSSには参加していませんでした。
 先週公表されたPISA2003のレポートを少し詳しく読んでみたのですが、日本の「数学成績における学校間格差および学校内格差」が3年前の調査に比べて著しく拡がっていました。 トップレベルの成績を収める生徒の割合は部分的には増えたのですが、格差の拡大がランクの低下に影響したとも考えられます。また、「数学の授業において、とても強い規律の風土があると生徒が報告した国」に日本が含まれていて、 さらに「学校の風土に対して、生徒に関係した要因がとても強く作用していると校長が報告した国」にも日本が含まれています。生徒と校長の認識のズレが生じている国は日本以外にはありませんでした。よく考えないといけないですね。
 土曜日と日曜日には、このPISA調査のフィンランドとドイツの研究代表を務める方々も交えて、東大COEが国際シンポジウムを開きました。 フィンランドの研究代表者のヴァリヤルヴィ教授(ユバスキュラ大学)とは、シンポジウムの後で親しくお話しすることができました。 今年の2月にユバスキュラへ行ったことや、スウェーデンの基礎学校を研究対象にしていることなどを話すと、「来年ヨーロッパに来る際には、、1〜2週間の学校訪問をアレンジしますから、ぜひフィンランドへも来てください。フィンランド人はシャイなので、1日や2日訪れただけでは 本質が見れませんから、長期のステイをお勧めします」と言われました。と、いうわけで、フィンランド行きも決定です。
 渡米・渡欧の計画は順調に過密化しています。上述のフィンランドもそうですし、ストックホルムの学校やヨテボリの私立学校と高校、合計8校がすでにスケジュールに入っています。さらに、放課後はFalkuniversitetet(国民高等学校)でスウェーデン語の勉強も入れてしまったので、 休む暇はなさそうです。忙しくて寒さを忘れられるのならありがたいのですが・・・。
 先週の日曜日は、国際シンポの後に、わかばの「ゲーム&レク講習会」に参加しました。今月は君ちゃんプロデュースで、ゲスト・ティーチャーにたんこちゃんをお迎えしました。野生の事前説明会の場面から キャンプファイヤーの出し物まで、たくさんのゲームをテンポ良く教えていただいて、とても充実した勉強会になりました。
 今週と来週は息つく間もない忙しさです。週末には日帰り姫路です。先週までに風邪を治しておいて大正解です。時間をお金に代えて、お金を能力に代えましょう。  
たんこちゃんに沢山の「ワザ」を教わりました
ゲーム&レク講習会
今年の授業も今週で終わりです
西平ゼミで紅葉の三四郎池へ

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